10指の指紋を採られる。

fkitty2006-03-08

現在州都にある連邦政府ビルに入っている裁判所に通っている。ここはかなり人の出入りが激しく,その分去年いた裁判所に増してセキュリティチェックが厳しい。その一環なのか何なのか今頃になって,「アメリカ合衆国に忠誠を誓います云々」という宣誓をして指紋を採れというお達しが来た。
まずは1階に行って宣誓をする。宣誓といっても裁判所での証人の宣誓のように自らブツブツ宣誓する必要はなく,担当者が私の前で宣誓文を読み上げるのを神妙に聞き,最後に「I do」と言っておけばよい。公務員が信条の自由を侵されたといって憲法問題にした宣誓とはこのことか,とちょっと感慨深い。
その後4階に行って指紋を採る。アメリカ入国の際に日本人にも義務化された指紋採取のような方式のもの(コンピュータが指紋を読み取るので手は汚れない。)を想像していたが,全くそんなことはなく,黒インクがべったり手に付く超アナログ方式。壁にはなぜか「FBI 出願者の皆さまへ」という題で正しい指紋の採り方を説明しているポスターが貼ってあり,ちょっとしたジャック・バウアー捜査官(by 24)気分も味わえる。
10指全ての指紋が必要であること,インクが付いた指を紙に単に押し付けるだけではなくそのあと指をぐりぐりというかローリングしなければならない(日本ではこういう押し方は被疑者や被告人がする。)ことが分かってちょっと躊躇していると,担当者がやって来て腕を引っつかんで有無を言わさずぐりぐりぐりぐり…あっという間に10本の指完了。
しかしここだけでは終わらない。以上に加えて,(1)親指以外の4本の指の指紋部分を含めた関節3本分(つまり指全部)を揃えて一度にとる。もはや手形に近い。ぐりぐりはしない。(2)親指の指紋部分を含めた関節3本分。ぐりぐりはなし。これもまた難しそうだったので担当者にお願いした。ぐりぐりして採った指紋とフラットな指紋を揃えておくことで指紋識別の際の精度が上がるらしい。
人種問題に敏感な(!)私は,念のため「これは私だけではなく,連邦の職員は全員やっていることですか?」と尋ねてしまった。答えはまあ当然のことながらイエス。10年位前にオクラホマシティで爆破テロ事件があった際に連邦政府ビルが標的になったこと,そして9・11。その後テロ予防のために職員の指紋を採るところが増えたとのこと。とはいうものの建物の出入りに指紋認証システムがあるわけでもないので,どういう場合にテロ予防になるのかが今ひとつ分からず*1,指紋を採らないより採っておいた方がましというレベルのテロ対策なのかもしれない。

*1:泥棒が入った場合とかは容易に想像できるけれど。