連邦裁判所とは,当該事件が州裁判所に係属するのか連邦裁判所で審理すべきものなのかについて振り分ける作業を延々繰り返している所ではないかと思えてきた今日この頃。私には比較的容易なものをということでそういうリサーチばかり回ってきているという可能性も多いにある。日本の地方自治制度とは全く異なる連邦制度というものが概念としても実感としても理解できないためなのか,裁判例を読んでいても字面が頭を素通りする感じがする。毎日こういうことをやっていても,ここで得た知識は明らかに将来役に立たないだろう。ありがたいことに具体的事実に既存の法律を適用して結論を導くというプロセス自体は日米共通なので(当たり前か),長い目で見れば足腰を鍛えているということにはなろう*1
このリサーチ以外には,多くの刑事事件に接するがこれもまた「足腰鍛える」系に分類される。自分の興味の向く会社法がらみの事件とか知的財産法がらみの事件とかにはまだお目にかかったことがない。平和なのか,裁判で本格審理に持ち込むだけの弁護士費用が捻出できないからなのか,ここ1ヶ月のうちにtrial*2はなく,この先もそんな予定は聞いていない。ということが色々分かってきて,少しダレてきているようだ。
ところが,そんな私の緊張が呼び覚まされたのは―皆様,物事はそれ自体は色がついておらず,それが良いことなのか悪いことなのかを決めるのは人間なのですよ―ええ,夏の試験に失敗してました。別段驚くことも落ち込むこともなく,まあ落ち込むことがないということ自体が全てを物語っているということ。今後成績表が帰ってくるらしいのでそれを見ながら,この度めでたく合格された方の書かれたもの*3などを参考にしつつ,淡々と勉強を続けるのみ。その上で運が向いてくるのを待とう(延々とチャレンジした運転免許の件が自分の中では成功体験となっているらしい。)。


         「願わくは我に七灘八苦を与え給え」 山中鹿之助

*1:付け加えるならば,法律家といってもその質が千差万別なこの国で,裁判所にいる法律家は間違いなく一流のそれで,そういう人達のそば近く働くということの恩恵は計り知れないものがある。法的思考はもちろんのこと,他人との接し方や礼儀正しい話し方まで

*2:証人尋問とかのあれです。

*3:LLM留学日誌~留学2年目NYLife 記憶が鮮明な試験直後にこういうものを書かれるその勇気に感謝。