人には色々と好みがあるので,一般論的に,自分が気に入った本,映画,化粧品等々に関し,安易にこれいいよとは言えない。しかし言いたい。アメリカで今セカンドシーズンに入ったドラマ「Lost」*1は性別,世代そして国籍の違いを越えて楽しめる傑作ドラマです! 飛行機の墜落シーンがリアルなのでそういうのが苦手な人にはお勧めしません。
物語は,シドニーからロスに向かった飛行機が途中で墜落し,無人島に不時着した48人の男女がパニックに陥っているところから始まる。メインの登場人物だけでも10人以上からなり,彼らが無人島(殺傷能力を有する謎の生命体が住んでいる怪しげな島。オアフ島だかのオールロケで映像もきれい。)でサバイバルする様子と,飛行機搭乗前の彼らの生活とが交互に描き出される。ストーリーが進むにつれて,生存者が奇々怪々な過去を持っていることがだんだん明らかになってくる*2
去年放映されたファーストシーズンの途中で無人島がアフリカの近くに位置しているのかという予感を視聴者に抱かせたり,飛行機がルートをそれたという設定のため救援の気配が全くなかったり,筏で島を脱出しようとしたら海賊(?)に出会い撃たれたり,とにかく,見ている間中ハラハラのしどおし。結局ファーストシーズン23回では問題は起こるばかりで解決されず,残された謎も多く,セカンドシーズンに入って同じ事故機の別の生存者が別の島にいることが判明し,問題は倍に。
私の文章力のせいか,こう書くとものすごく荒唐無稽な話に思えるけど,サスペンスとサバイバルと人間ドラマがちょうどよい具合に交ざり合い,今年アメリカで数々の賞を取っている。
このドラマのすごいのは,ただ楽しめるだけではなく,「何もないところで,文明を離れて,全員が生き延びるためにあなただったら何ができるか」という視聴者自身の生存力や人間力を問われているような気になるところ。ドラマ中でも,医者,兵士や犯罪者(笑)等サバイバル術に長けた人達はかなり素敵。ドラマなので男性は銃を扱える人が多いという設定になっている。なぜかウォルマート勤務のおじさんが一番銃を扱うのがうまいけど(こういうレベルの謎が多くちりばめてあり,後の回で腑に落ちるようになっている。)。
振り返って,こういう場合私に何ができるかと考えてもとりたてて特別な技術がない。足手まといにならないよう山菜取りでもするしかない。少人数のサバイバル生活に法律は不要。リーダーさえしっかりしていればよい。法律家は文明が発達してこその存在だなあと思う。その意味で文明社会でも非文明社会でも重宝される医者は素晴らしい職業だ。ただし,ドラマによれば,ろくな医療器具がないところで人工呼吸から手術から目の診療から出産から足の切断*3から解毒まで何でもこなせなければならないらしいが…。
日本でもファーストシーズンの放映が今月から行われている模様*4。おそらく待っていればNHKあたりが地上波で放送するだろう。

*1:http://abc.go.com/primetime/lost/index.html

*2:殺人事件の犯人,湾岸戦争の際に兵士として戦ったイラク人,麻薬中毒のロッカー,英語が全く話せない韓国人夫婦,妊婦などなど

*3:斧もなく,金属の扉みたいなものに足をはさんで切ろうとしていたのにはクラクラしてしまった。結局切断せず。

*4:http://www.axn.co.jp/lost/story.html