やっと試験が終了。春休みをつぎこんで勉強したかいがあったかどうか,学業成就のお守りを2つも試験会場に持ち込んだが,学問の神様はアメリカにまで来てくれたかどうか…約5週間後に結果が出るらしいので,間違ってもそのころに「あれはどうなりましたか?」などとコメント欄に書かないで下さい。
今回の試験*1は年に3回受験可能というのが日本の司法試験とは異なっている。またそもそも日本だと,弁護士倫理は弁護士として登録をした直後に1日くらいの講習を受けるだけで,司法試験の科目には含まれていない。対するアメリカは,倫理試験がバーエグザムの一部であり,殆どのJD学生がロースクール卒業の1,2年前に倫理試験のみを単体で受験する。つまり,彼らは受験に際し,憲法,民法,刑法等の法律科目より先に,まず倫理試験を受ける。さらにJDは,「弁護士倫理」という科目の履修が卒業に必須とされている。この日米の違いは,アメリカの弁護士は倫理的になっちゃいないから若いうちから倫理を体にたたきこませる必要があるため,という面があることは否めないとごく控えめに思う。ただ,アメリカの弁護士の活動分野は多岐に渡っているせいで裁判官,検察官,お役人はては副業の倫理までもが弁護士倫理に含まれており,かつそれぞれの分野が複雑化しているので,日本のように「一般人の常識=弁護士倫理」という意識を持って仮に弁護士倫理の勉強をおろそかにすると*2知らずして倫理を侵してしまう可能性が高いであろう。
突然ここで1問。「アメリカの判事(来るべき選挙で再選を狙っている。)の選挙委員会は,当該判事の法廷によく出廷する弁護士に対しても,当該委員会への政治献金を勧誘することができるか?」答えは何とイエス。このような日本にはない司法の仕組みを倫理試験を通じて垣間見ることができたのは少なくともよかったのではないか。

*1:Maltistate Professional Liability Examination 略してMPRE:弁護士倫理試験。

*2:決して当方を含む日本の弁護士が弁護士倫理の勉強をおろそかにしているという意味ではない。