クエストゥーラの悪夢再び

イタリアに居残るという思わぬ特典を得たが、クエストゥーラ(外国人警察)に定められた私の滞在期間は、明日まで。警察に行って滞在期間を延長しなければならない。

前にも書いたとおり、イタリアに8日以上滞在するEU出身以外の外国人がイタリアに住む場合、警察に行って手続をしなければならないが、この手続が混乱の極みで、しかも警察ごとに言うことが違うので「手続にマニュアルなし。」と恐れられている。前回は学校がまとめてやってくれたからよかったものの、今回はイタリア人に付き添ってもらうものの、個人で申請ということになる。

行ったら、前回以上に黒山の人だかり。そして前回以上に人々がエキサイティングだと思っていたら、何と、今日から法律が変わり、外国人登録は警察の管轄ではなく、郵政省の管轄に!ただ、「難民、外交に関わる人物等々特別の事情ある場合は、引き続き警察が手続を行う」ということらしいので、付き添いのLちゃんは、「この子(私)は、WIPOの関係でイタリアに残るから外交関係です!」と無理なことを言ってくれたが、勿論それは無理。郵便局に出直すことになった。

警察の近くの普通の郵便局に入ると、「ここの郵便局ではありません。中央郵便局です。」と言われ、中央郵便局に移動すると、「まず、登録のための用紙を郵便局で買ってください。30ユーロです。」と言うので買おうとすると、「今日は売り切れです。1日100部までしか売らないので明日の朝8時に来て並んでください。」だって!外国人登録用紙の数になぜ限りが?なぜ今まで無料だったものが30ユーロも?外国人登録の手続自体は、用紙に必要事項を書いてポストに投函するというシンプルなものに代わったようで、以前のように、両手の手形を取られ犯罪者の気分を味わうこともなくなったのはいいけれど…。

翌朝、私は1人で開店前の郵便局前に並んだが、その時の異様な雰囲気は忘れられない。皆イタリア人化しているのか、100部限定の用紙をもらうために1列に並ばず、朝の薄暗い中団子状になって押し合いへしあいしている。私もその中に入り、門が開くやいなや、受付めがけて猛ダッシュ。今日申込みできないと違法滞在になるので、なりふり構ってなんかいられない。ここでは生きていくだけで大変だ。