中国人とイタリア語会話

トリノでは日本人は殆どみかけないけれど,中国人は極たまにいる。私の日常生活範囲内でも,よく行くスーパーマーケット(普通のイタリアのスーパー)はなぜか中国人経営だし,週に1回程度利用しているおいしい中華のテイクアウトのお店はもちろん中国人経営。アジアの国の人とは基本的に英語でコミュニケーションを図るという考えだった私は,彼らが話しかけてくる言葉がイタリア語なことにまずびっくり。彼らは中国語とイタリア語で生活していて,英語は全く話せないのだ。
にもかかわらず,同じアジア人ということでむこうも親近感を覚えるらしく,結構話しかけてくる。この頃は私のつたないイタリア語で,私が東京から来てトリノでは学校に通っていること,学校ではイタリア語を学んではいない,ということは伝えてある。でもそれ以上のコミュニケーションは不可能。

こういうこともあった。私と中華料理好きなウクライナ人が上記の中華のテイクアウトのお店に行った際,ラビオリ(別名餃子)が焼きあがるまでにあと15分位かかるといわれたので,その間に他の店で用事を済ませてから戻ってくる,会計はそのときにと言おうとして言葉に詰まった。ウクライナ人より私のイタリア語はましだったが,それでも高度なことは言えない。英語+大げさなボディランゲージを使ってもやっぱりだめ。最後の手段で私は筆談を試みた。「我再来此処15分後」とかなんとか。それでもキャッシャー担当の店主の妻はきょとんとしている。

ウクライナ人(英語よりもフランス語が得意)は,私達の後ろに並んで待っている見知らぬイタリア老婦人に「フランス語はできるか?」とフランス語で話しかけ,その老婦人を中国人との通訳に使おうとしていた*1が,非情にも「ノ」と言われていた。

そんな中,筆談を店主の小学生の息子が解読したらしく,それでも通じたのだろうかという不安を抱えながら店を一旦出た。が, 15分後に戻ってきたらきちんとラビオリはできていたし, 店主も店主の妻もニコニコして「Ciao!」と言ってくれたので,通じていたのであろう。Bravo!素晴らしき哉筆談!!…そしてイタリア語を本格的に勉強しようという決意からまた遠ざかるイタリア在住もうすぐ3ヶ月。

*1:トリノは昔フランス語圏だったので高齢の人はフランス語ができる人が多いらしい。