日本ってすごい国? 

前にも言ったように,今勉強しているのは知的財産法だけではなくそれを使っていかに国を発展させていくかという途上国にとっては重要なテーマも含んでいて, 授業中にしばしば成功例として日本のことが取り上げられる。これが結構辛い。例えば,「世界の3大特許国といえばアメリカ,EUそして日本」というところから始まった場合,「で,実際日本の特許の情況はどう?」と振られたり(知りません。), 日本人ではない講師から日本が何もない所からいかに知的財産を使ってのし上がったかという話を聞かされたり(誇張が交じってます…。)。特許について教科書的な知識しか自分にない上に,ここ10年間の経済状況を考えると無邪気に日本は凄いんですよと自慢する気もおきない。

途上国が日本をロールモデルにしようとするのは当然のことで,日本の話がさかんにされるのは喜ばしいことだけれど,それについて正確に何かを伝えることができず,情けないことに「Japan」という単語が出ただけで今度は一体何を振られるのやらとビクビクしどおし。理解に自信を持てるのはenforcement位しかない。こういうコースは途上国開発に携わっている人や特許庁のお役人さん達に是非受けて欲しいところ。

素人考えに過ぎないけれど,日本が発展した道をいくら示してもそれが他の途上国に当てはまる保障はないわけで,例えば日本は戦後何もないところから出発したけれど,実は戦前はかなりの力を持っていてある意味貯金があったこととか,国民が勤勉でかつ政治腐敗が極端に少なかったこととか,朝鮮特需があったこととか。考えていくうちに,こうも短期に発展した日本という国が本当に特殊で奇跡みたいに思えてくる。そういう意味で,「日本の1965年はChindia*1の2005年。Chindiaの2005年はベトナムの2025年」という明るい展望に満ち満ちたプレゼンを見せられたところで,何だかなあという感想しか持てない。ていうか, こんな勉強をしている私って一体…。

*1:China+ India