長々とDC旅日記を書いているが,実は本日が見学旅行のメインの日である。DCの建物はみな荘厳な雰囲気を漂わせているが,ことさらに重々しいギリシャ風の建築物がここ合衆国連邦最高裁判所である。今日は弁論が開かれる日ということで,一般の人にも公開されている。
法廷にはケースブックでおなじみの判事達がずらりと揃い,弁論を行っている弁護士に向かって「それで本件の論点は何と考えますか?」だの,「その先例と本件との間に何の関係がありますか?」だの「○○の定義について説明せよ」だの,各々質問して弁論をさえぎること甚だしい。これでは弁護士も落ち着いて弁論などやっていられないであろうと思うが,そこはアメリカの弁護士,口が立つ立つ。この問答風景はロースクールの教授と当てられた生徒との間のそれ*1を彷彿とさせるものがある。そういえば,司法研修所の某教官よりいただいた「弁護士心得」なるものに,「弁護士は,口が立つより筆が立ち」という一文があったが,これはつまり日本の弁護士の資質として,話すことに秀でていることよりも文書を作成することに秀でていることの方がよしとされるのだ。アメリカでは「弁護士は,筆が立つより口が立ち」というところか。
裁判傍聴にあたって,予め事実の概要を知らされておらず聞き取りに不安があったが,1件は州政府の土地収用をめぐる地権者からの上告であり,もう1件は国際刑事司法裁判所の判例憲法との関係がメイン論点であり,比較的なじみがある内容であったためか,概要のみは一応把握できたように思う。その後,現在最高裁で働いている同じロースクールの卒業生に率いられて裁判所内めぐり。最高裁判所の最上階にバスケットボールの試合ができるコートがあったり,ジムがあったりすることはあまり知られていないように思う。

*1:ソクラテスメソッド