ビザ来る!

懸念のビザが無事とれた。アメリカの滞在資格がもうすぐ切れるので,切れてしまえば日本に戻って手続きをしなければならずこれ以上面倒を増やしたくなかったので結果的にスムーズに取れてほっとしている。


ただ,これまでの道のりはスムーズからはほど遠い。まず日本に住民票もなくアメリカに住んでいるけど滞在資格切れかけの自分のビザ申請はどこで管轄されるやら分からない。日本の大使館は「アメリカです。」といい,次の進路先は「日本人だったら日本では?」と言ってくる。アメリカ滞在資格切れかけという特殊事情を考えなければ,どうやらフィリーで申請できるらしいというところまではウェブで何とか判明。


車で4時間のDCと比べてフィリーは遠い。しかもフィリーの領事館は,電話,ファックス及びメールによる相談は一切受け付けませんというイケズっぷりが際立つ。仕方なく質問を受け付けているDC大使館にDC住民のふりをして電話相談するも,「一度来て下さい。あなたの書類を見てから判断します。」と取り付く島もなし。時間が迫っているので些細なことで却下されればフィリーで2度目の申請という手段は残されていない。郵送による申請よりも直接行って同情を買い(?)一発でビザを出してもらう作戦にでる。これは,アメリカの窓口対応はいい人にあたれば本当に融通を効かせてくれるので,人情にあついラテンの国なら余計そうだろうという勝手な思い込みに基づいている。


時差を気にしつつ3国にまたがって所定の書類を揃えるのもナカナカな手間。日本の銀行の残高証明書の発行が遅くかつ手違いを繰り返すので,電話で「もしこの遅れのせいでビザが下りなかったらその為にかかった費用諸々はおたくに支払ってもらいます!」などというプチ脅しをかけつつ,一方では明日書類を送ると言いながら平気で1週間以上ほったらかすラテン(これは予想済み。)に督促メールを何通も送ったり。


奇妙なことに,同じ国の同じ種類のビザでもDCやボストンやNYとフィリーとではビザ申請に必要な書類が微妙に異なっている。当局が必要書類以外に追加書類を求めることもあるということなので,フィリー領事館以外の領事館の必要書類を参考にして,少しでも必要かなあと思ったものは全部書類化して持っていくことにしたら全部で15種類にも。カバーレターを書き,必要なものには公証を受け,各書類に番号を付けて付箋を貼り,万が一の際にもう一部コピーを用意して準備万端いざフィリーに発ったというところから前回のエピソードに続く。


ビザが取れた理由は,進路先が公共機関で,そこに行く人にはビザを優先的に出すという取り決めが領事館と進路先との間に元々あることと,進路先が先回りしてフィリー領事館へ私に関する書類をファックスしておいてくれたからというのが大きい。これらがなければどうなっていたか分からない。ただ,ここで浮かれるのはまだ早く,入国の際に入国審査官がビザの有無に関わらずビザ申請書類を再度チェックして入国の許可を出すとか,入国後8日以内にビザ申請書類を持参して警察に外人登録に出向かなければならないとか,アメリカにはないこの種の難関が待ち受けているらしい(ため息)。


で,その人情にあついラテンとは,太陽の国イタリア。勿論遊びに行くのではなく,4ヶ月間ほど法律を勉強しに行くということを念のために付け加えさせていただきます。実は遠隔授業でもう前期が始まっていて今忙しいということとイタリア語は何一つ分からないことも付け加えさせていただきます。


今回の教訓は,何かを得ようと思えば何かを我慢しなければならないということ。アトランタでの真夜中放り出されかつ200ドル支出事件と車のリア部分が全損したオカマ事件は結構精神的ダメージが大きかったので。